【SEACOXX】ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない 感想
目次
ゾンビのあふれた世界で俺だけが襲われない
あらすじ
人嫌いで黙々と仕事をこなすだけのサラリーマンだった武村は、突然の会社倒産後、やる気を失ってしまい引きこもりの生活をダラダラと送っていた。そんなある日、部屋を出たところで突如謎の男に襲われ、腕を噛まれてしまう。なんとか自室へと逃げこんだものの、謎の高熱を出し続けて数日間寝込んでしまう。 やがて症状も回復し再び日常へと戻ろうとした武村だったが、世界はその間に一変していた。突然現れたゾンビ達がありとあらゆる場所で闊歩し、崩壊しかかった文明の中で人々は逃げ惑うばかり。だがなぜか、自分だけはゾンビに襲われない!武村はこの状況をどう利用し、どう過ごしていくのか。
カテゴリー | メーカー | プレイ時間 | 価格 | 評点 |
---|---|---|---|---|
シナリオゲー | SEACOXX | 4時間 | 1944円 | 85 |
※価格は変動する可能性が有りますので各自で確認の方をお願いします。
主な登場人物

武村 雄介
本編の主人公。
一年前に会社が倒産して以来就職活動を行うも上手くいかずに引きこもっていた。
外出した際ゾンビに襲われ、致死率100パーセントの疫病に感染するも数日寝込んだ後は回復し何故かゾンビからは、襲われなくなっていた。
両親はいなく、唯一の肉親だった祖父も二年前に交通事故で他界している。また利己主義、合理的な性格。

藤野 深月
メインヒロイン。
長い黒髪の容姿に恵まれた美少女。
助けを待ち、大型スーパーに弟2人と共に篭城していた際、雄介と出会う。
以後、雄介から食料を提供させて貰う変わりに体の関係を結ぶことを了承する。

黒瀬 時子
サブヒロイン。
雄介と三部屋離れたところに住んでいたマンションの住人。
情報を得るため雄介が生存者を捜索しているときに発見される。
発見された時には、すでにゾンビと化しており拘束された後はダッチワイフのように使用されていたが…
プレイ時間
プレイ時間は、およそ4時間ほど。
このゲームは原作があり自分はそちらの方を一通り読んでいたので流し読みしていた場面もあり、きちんと読み進めていくと5~6時間程度は掛かると思います。
本作はルートが2つあり、1つは時子のルートなのですがこちらは分岐後10分程度で終わるおまけみたいな扱いとなっています。もう1つは深月と共に行動するルートでこちらがメインとなっています。
感想等
こちらの作品は、パンデミックが起こった世界を舞台としています。ハリウッドでよくあるようなゾンビ物と言った方が分かりやすいかもしれません。疫病が広がり人にとって明確な敵、「ゾンビ」がいて今日共に行動していた仲間が明日にはゾンビになるかもしれない恐怖。それだけではなく、減っていく食料や飲料、ほとんど機能していない政府、そしてその中での人間関係等、少し考えただけでもこれほどの問題が出てくるほどの世界を生きていかなくてはいけません。とんでもないハードモードですね。また主人公だけはゾンビは気にしなくていいと思えばそうでもなく…
上記のような世界観を持った作品ですが以下4つの長所と合わさり、とても魅力的な物語となっています。久しぶりに時間を忘れて物語に没頭することができました。
- 小説のような説明文章
- リアリティー
- 主人公への行動原理の理解と共感
- 心理描写
これらの表現がとても上手く絡まっていたと思います。
まずは心理描写と小説のような説明文章なのですが、小説のような説明文章のおかげで今主人公たちの置かれている状況や解決するべき問題点などがとても分かりやすく、何か行動するにあたっても何故その行動をするのか、しなくてはいけないかの説明がなされ説得力が増していると思います。心理描写についても重要な場面や突飛な行動をしたときには細かい所まで説明してくれてこちらの理解を助けてくれました。深月が主人公に惹かれていく過程についてもとても分かりやすく納得できるような展開となっています。
そしてリアリティーについてですが、このように明らかに現実社会がベースとなっていた物語はある程度の現実感を出すことが重要であると自分は考えています。
例えばですが、よくあるゾンビ物では喧嘩もしたことがないような主人公がいきなりゾンビを殺していたり、あげくの果てに使用した武器がバットである等、そんな物を読んだりするとどうしても違和感がよぎってしまいます。相手はただ立っているような案山子のような存在ではなく、こちらを食料又は敵と認識して襲い掛かってくる人型の脅威です。そんな化け物に対して今まで平和に暮らしていた人がそんなにも簡単に対処できるとは思いません。ようするに、現実社会をベースにしている又はしていた物語は他のジャンルに比べご都合主義が目につきやすいのではないかと思います。その点をこの作品は、一般人に対しどれほどゾンビが脅威であるか、そしてその中での人間関係や食料確保等がどれほど難しいものであるのかをよく描写できていたかと思います。
主人公への行動原理の理解と共感について。
ゲームをプレイしていると理解してもらえると思いますが主人公は客観的に物事を見ていることが多いと感じます。おそらくその原因は、この世界における最大の脅威であるゾンビに襲われないこと。ゾンビに襲われないということと元の性格と合わさってかは分かりませんがどこか傍観者然とした思考をしています。ようは対岸の火事を眺めているといった感じですかね。そんな立場がプレイヤーに対する共感を生んでいると思います。というのも、その視点がプレイヤーにかなり似ているからだと思います。立場、視点が似ているということで主人公に対して感情移入がしやすくなります。感情移入した状態での主人公の行動に、自分も同じ立場にいたらこんなことをするだろう、また思っていた事と違う行動をした際にも、何故このような行動をしたかをなぜならこう考えていたから等、細かな所まで説明してくれる文章も合い間って共感をよんでいるのだと思います。
そんな傍観者然とした主人公ですが、探索の途中で明らかに他のゾンビと異なり知性を有しているであろうゾンビ、知性体と遭遇します。そして知性体を追跡し、何故知性を持ったゾンビが誕生したか、その他にも普段のゾンビの行動についての疑問が少し解決されます。ここの辺りからは主人公も少し危機感をもって行動し始めパニック物の売りであるドキドキ感が味わえるだろうと思います。
最初は主人公とプレイヤーを似た立場に置き、共感、感情移入させてから展開を急転させていきシナリオに夢中にさせていく構成が上手くできていると感じました。
その他
まずはCGについてですが何枚か貼るのでぜひ見てください。
上から1枚目が深月、2.3枚目がゾンビと知性体、残りの4.5枚目が背景です。
同人とは思えないほどの美麗さだと思います。絵がネックになっていて同人はあまり好きではないといった方も十分に満足できる水準をしています。bgmや効果音も違和感なくプレイできました。
ただ1つだけ欠点がありボイスがついているのは深月だけとなっています。
しかしそれを加味しても、高水準なノベルゲームといえるかと思います。値段も高くはなく、とても安価なので興味を持った方は是非購入してみてはいかがでしょうか?
それとこのシリーズは市役所編まで発売されていて、今回紹介したものは1作目に当たります。今作は深月達とスーパーから市役所に拠点を変えるところまでが収録されてます。
お求めの方はこちらからどうぞ。市役所編も含めた全巻パックもこちらにあります。
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