【きゃべつソフト】さくらの雲*スカアレットの恋 感想

さくらの雲*スカアレットの恋

2020年に生きる青年・風見司は、桜の木の下から100年前へタイムスリップを遂げてしまった。
――帝都・東京。
そこは新時代への希望に満ち、文化の華が咲き乱れた、輝かしき浪漫の都。

「初歩だよ、司。最後に残ったものが真実なんだ」

そんな帝都でひとり探偵事務所を営む謎の英国女性・所長。
日々金欠にあえぐ彼女のもとで、司は数々の事件に巻き込まれていき……?

枝分かれする彼の運命がたどり着くのは、果たして令和か大正か。

100年の時を超え──
今ここに、桜舞うレトロ・ミステリイの幕が開ける!

引用元

カテゴリーメーカープレイ時間価格評点
シナリオゲーきゃべつソフト21時間8800円83

※価格は変動する可能性が有りますので各自で確認の方をお願いします。

登場人物

所長

帝都で『チェリイ探偵事務所』を営むイギリス人女性。
失せ物探しから身辺調査までさまざまな案件を請け負っているが、
経営状況は常に困窮しているカネの亡者。
特殊なその風貌はしばしば悪目立ちするものの、まるで意に介していない。

不知出 遠子

旧家・不知出の一人娘で、どこか浮世離れした感覚を持つお嬢様。
普段は帝都有数の女学校へ通いながら、屋敷でメリッサらメイドと共に生活をしている。
所長にとっては最も金払いのいいクライアントの一人。

メリッサ

遠子の屋敷で雇われている女中。
正統派ヴィクトリアン・メイドを自称しており、家事にかけては超一流。
中でも彼女の淹れる紅茶は所長をも唸らせる絶品だが、
料理はというとフィッシュ・アンド・チップスしか作れない。

水神 連

浅草の女学校に通う下町育ちの女の子。
性格は控えめなものの、昨今の時流もあってか恋や異性に興味のあふれるお年頃。
所長や遠子のように外国を知っているわけでもないため、
現代から来た司の存在は極めて刺激的に映ったようだ。

風見 司

2020年からタイムスリップを遂げた青年であり主人公。
所長の下で探偵の助手として大正時代での生活を送ることになる。
現代の幅広い知識を持っているため重宝されるが、
しばしば文字通りのジェネレーション・ギャップに衝撃を受けている。

プレイ時間

共通、遠子、連、メリッサが4時間ずつ、所長が5時間の計21時間でした。満足できるボリュームはあると思います。

物語の大筋の説明

今回はきゃべつソフトさんから第四弾として発売された、さくらの雲*スカアレットの恋についてです。きゃべつソフトさんと言えばアメイジング・グレイスが代表作として有名なシナリオ重視のメーカーですね。

それと同じく、今作もシナリオ重視の物語となっています。
ここからは物語のある程度の解説と感想を語っていこうと思います。主人公の風見 司は桜の木の下、一人で読書をしている最中に意識が混濁し、治まったと思ったらいつの間にか隣に女性がいることに気が付きます。ここで出会ったのが所長です。所長と話をしていると年代について嚙み合わない部分があり2020年のはずなのに今は1920年だと言い返されます。不審に思い辺りを見渡すも、見えた光景は桜を除き自分の全く見知らぬもの。道は舗装されておらず、行きかう人々の衣服は和装、高いビルや建物等も見当たらず、現在地を聞くと「浅草だ」と返されます。ここで主人公は理解してしまいます。自分は100年前にタイムスリップしてしまったのだと。

その後事情を話したものの信じてもらうことが出来ず別れそうになるも、当ての無い主人公は何とか食い下がろうとし、所長の仕事である探偵を手伝うことにします。依頼は猫探し、持っていたスマホを活用し無事に解決したところで主人公はある依頼をお願いします。自分が何故この時代に来てしまったのか、そして自分が未来に帰れる道筋を見つけて欲しいと。その代わりに助手としてこき使っても構わない。そうして主人公は所長と共に探偵として事件や依頼を解決していく中で様々な人たちと出会い、未来へ帰るために行動していくといった物語です。

ちなみに主人公が未来に帰る方法は序盤で明らかになります。主人公がタイムスリップしてしまった場所、桜の木の下に再び訪れた際アララギという存在と出会います。そこで質問し分かったことは、彼女は人間ではない、敵か味方かと言われればどちらかと言えば味方である、100年後から来たことを知っている、明確な意思があって会いに来た、タイムスリップに関係している等、重要なキャラであることが覗い知れます。そして主人公にとって一番聞きたかったこと、どうしたら100年後に戻れるのかという問い歪みを正せ、と答えられました。

何から何まで詳しく教えてくれる存在では無いのでまだ謎が多く残ったままなので、本人が言っていたように案内人として指標を出してくれるキャラという認識で良いと思います。

各ヒロインの印象

タイムスリップした時に出会った所長、猫探しの依頼人であった水神 連、まりも探しの依頼人の不知出 遠子、遠子の女中であるメリッサ計4人が今作のヒロインとなります。

まずは所長の印象からです。見ず知らずの主人公を依頼の関係とは世話を焼いてくれることからも分かりますが、お人好しと感じました。それに加え気配り上手でさりげない優しさを感じる場面が多々ありました。ただええかっこしい所と少し調子に乗る所が傷、そんな印象です。それでも締めるところは締めてくれて、時折探偵らしく鋭い着眼点を見せることもあり頼りになるキャラだと思います。

次は不知出 遠子ですね。活発で明るいお嬢様といったキャラでした。親しみやすく乗りも良い男の理想なんて感じです。ルートは怪盗に関することが中心になって進んでいきます。それ以外は遠子との恋愛模様が描かれています。正直、主人公と遠子が想い合う関係になるまでの描写が薄く違和感がありましたが、付き合ってからのイチャイチャは普段萌えゲーをやっている方でも満足できる密度だと思います。あと何よりも遠子がエロいエッチに積極的でそういうのが好きな人は満足出来ると思います。

水神 連は年下の幼馴染という表現が合うと思います。それと初心でエッチなことで揶揄われた場面はとても可愛かったです。あと他のヒロインと比べ恋愛描写が丁寧に描かれていたと思います。

最後はメリッサですね。料理以外の家事は一流のメイドです。感情を表に出さないクールキャラで時折主人公をからかっていたという印象です。そんな子ですが幽霊を怖がっていた時はギャップの効果かとても可愛かったです。普段は澄ました態度の子が感情を表に出して照れたり等するとドキッとしますね。そういうのが好きな方はこの子7が一番好きになるのではないかと思います。ちなみに今作ではこの子が一番好きになりました。自分はクール系のキャラとツンデレに本当弱いと再確認できました。

物語全体の感想

簡単に言うと、舞台が変わったアメイジング・グレイスでした。過去にタイムスリップしてしまった主人公が並行世界の主人公の経験を電報で知らせて貰いその都度歴史の歪みを正していき未来へ戻るために行動していくといった物語です。過去に同メーカーから発売されたアメイジング・グレイスが好きな方は気に入ると思います。主人公が2020年から1920年にタイムスリップしたということで些細なことでも知識があるように見えて感心される場面が多々あるのですが、それが主人公の持ち上げに思えて少し辛かったです。なろう小説を読んだことがある人は分かると思いますが、良くある無理な主人公上げと重なって見えてしまいました

ただ言っておきたいのは、主人公がそれを鼻にかけるということもなく、生まれた時代が違うため知っているだけと作中でも度々言っているので主人公に対する不快感は湧きませんでした。しかしどこかモヤモヤしたやりようの無い思いが生まれたのも事実です。実際主人公もこのような思いを抱いている描写もあるので変な所で共感してしまいました。

あと思ったことと言えば主人公に芯を感じないことですね。こう思ったのはヒロインとの恋愛関係への発展の仕方にも問題があったと思います。正直に言って主人公がヒロインに好意を抱くのが突然すぎたことです。これはヒロインの方にも言えることですが、ついさっきまで友達のような関係だったのにろくなイベントもなく好きだと気付いたと言われても違和感しか感じませんでした。挙句の果てにそんな突然出来た彼女の為に未来へ戻ることを諦めたりなど。事情があったにせよ未来へ戻るか彼女を取るかの葛藤も薄っぺらく見えてしまいました。せめてあと1、2回イベントを挟んで欲しかったです。また、そのせいかキャラの多くがライターの望んだ展開通りに動く舞台装置、芯の無いキャラだと感じました。キャラが意志を持って動くのではなく、ストーリーに従ってキャラが動いていた、そう感じてしまいました。ただこの部分に関しては主人公の謎が解き明かされる時に説明はされるので納得できる人も多いかと思います。全部知ってからはむしろ主人公に同情してしまいました主人公も大変だったんだなと。だからこそヒロインとの恋愛描写をもっとしっかりと描いて欲しかったと強く思います。

批判が多くなってしまいましたが次は良い所を挙げていこうと思います。まずこの作品の一番良い所は伏線の回収がしっかりと出来ていたところです。正直、予想通りに進むことが多いのですが投げっぱなしにすることなく終わっていたのでそこは評価できると思います。それと思いもよらぬところで繋がっていた人間関係の面白さもありました。過去にこんな関わりがあったのかと驚くと同時に良いキャラの掘り下げに繋がっていたと思います。あとこれは良いこととは一概には言えないのですが、後半になる程物語が進んでいけばいくほど面白さが際立っていきます。そういう作りのため序盤は正直に言ってあまり面白くありません。共通、遠子、連はミステリィーと呼ぶには十分な出来では無かったように思いますが、メリッサルートから所長ルートと終わりまではドンドン今までの伏線を回収していき終わり方もとても綺麗だったので購入した方は最後までプレイすることを強く勧めます。結論を言えば良く纏まった作品ではあるものの面白くなるまでが長い所が難点、そんな作品でした。